「しぬ。さむい」
「ごめんな」
冬は嫌いだ。寒いと惨めな気持ちになる。
寒くてお腹が減っていたらなおさらだ。
部活が終わるのが遅い優人を待っていたから、手も足も鼻も顔も全部が冷えた。
待ち合わせ場所である 校門に走ってきた優人の顔は赤くて、手なんてホカホカしてた。
むぎゅっと手を握って学校から徒歩3分のバス停へ行く。私も優人も通学手段はバスだ。
バス停について、バスが来るまでベンチに座って待つ。
「優人はあったかいね」
「さっきまで部活してたからなぁ」
私の手に温もりを分けるみたいに、優人が両手で私の手をそっと包んだ。
漫画で出てきそうな行為に思わず顔に熱がこもる。あ、暖かくなった。
そうだ、と優人は手を離して、スポーツバックの中を探った。
「何探してるの?」
「んーー・・・いいもの」
「いいもの?」
「あ、あった」
そう言って出してきたのはハンドクリーム。
塗ればホカホカ!なる表示がしてあって、そのしたにブサイクな猫みたいなキャラクターがいた。
思わずその猫に笑えば、こいつうけるだろ。とそのハンドクリームを私の手に塗った。
「これ塗ると暖かくなるらしいぜ」
「ほんとかなー」
この手の商品はいくつか試し済みだ。でもどれもあまり効果がなくて、結局使ってない。
優人が、俺が言うんだからまじだって。と顔をあげて笑った。
ハンドクリームを塗り終わった私の手を、また包むように握って。
思ったより近かった距離に体が火照るのを感じる。
こんな恥ずかしいことを、天然でしてるから優人はすごい。
「でも俺は冬、好きだけどなー」
バスが来て、乗ろうとしたときに優人は行った。
ええー、と怪訝な顔をした私に、彼は笑って言った。
「だって、咲がこうやってくっついてくれるから」
彼が私のほっかいろ。